投資用アパートのホームインスペクションの基礎知識と注意点

投資用アパートのホームインスペクションの基礎知識と注意点

マイホームを購入するときにホームインスペクション(住宅診断)を依頼する人は多いですが、実は投資用にアパートを購入する人もホームインスペクションを依頼することが多くなっています。

アパート購入後に、様々な欠陥や不具合などの建築トラブルによって、入居者から大クレームが続くと対応の手間も大変ですが、補修工事等のコスト負担が大変で当初想定していた実質利回りを実現できなくなってしまいます。

さらに、状況次第では入居者から損害賠償を求められるような事態もあるので、投資用アパートのオーナーになるならば、購入時にホームインスペクションくらいは利用しておいた方が賢明です。

投資用アパートの利用パターン

アパートに対するホームインスペクション(住宅診断)ですが、大きく分けて以下の4つのパターンがあります。アパートのオーナーになる、もしくは既になっているなら、いずれかに当てはまるはずです。

中古アパートを購入するとき

中古アパートのホームインスペクション

アパート投資にもいろいろありますが、中古のアパートを購入する人も多いですね。新築に比べて表面利回りの良さや購入価格の安さが魅力ですし、既に入居者が入っていることもメリットです。

ただ、一方で中古の建物ゆえに既に劣化が進行していると考えられ、購入直後から様々なメンテナンス費用が掛かる可能性もあります。購入後に想定を大きく超えるようなメンテナンスや補修の費用がかかるようでは困りますから、購入する前にホームインスペクション(住宅診断)を利用するのは当然と言えるでしょう。

新築アパートが完成したとき

新築アパートのホームインスペクション

オーナーがアパートを新築することも多いですが、その建設工事が完了してアパートの引渡しを受ける前の完成検査に専門家を同行することがよくあります。これもホームインスペクション(住宅診断)の1種です。

完成時点で確認できる範囲において、施工品質のチェックを行い、補修すべき点があれば建築会社に指摘して直してもらうためです。

引渡し前の完成検査をきちんとやっておかないと、入居者が入ってからクレームが来ることがよくあります。入居後に補修するとなれば、入居者との日程調整も大変ですし、そもそも入居者に迷惑がかかり印象も悪いですね。また、引渡し後、つまり建築代金の全てを支払った後では建築会社の対応が悪くなることも少なくないので、引渡し前のチェックは非常に重要なのです。

新築アパートの建築中に

建築中アパートのホームインスペクション

実は、新築アパートのホームインスペクション(住宅診断)に関しては、完成時・引渡し前よりも着工から完成までの建築途中に依頼する人の方が多いです。その理由は、建築途中ならば完成してからでは確認できない範囲まで確認できるというメリットがあることと、賢明なアパートの投資家は投資すべき適切な機会をわかっているからです。

投資家のなかには、複数のアパートを建築する人もいますが、その都度、ホームインスペクションを利用しています。同じ建築会社が建築する場合でも、繰り返しインスペクションを依頼するのです。それは、インスペクションを入れなければ、抑止力がなくなることとミスが起こりうることをわかっているからでしょう。

所有するアパートに

既にアパートのオーナーである人も、所有する物件に対してホームインスペクション(住宅診断)を依頼することがよくありますが、その利用目的は様々です。

たとえば、新築して以来、もしくは中古アパートを購入して以来、第三者の専門家に一度も見てもらっていないので、補修すべき点がないか確認しておきたいという目的や、建築会社の保証期間が切れる前に点検しておきたいという目的、売却する前に点検しておいて売却後に買主から瑕疵担保責任の履行や損害賠償請求を受けないようにする目的、入居者から問題点を指摘されたので調査したいときなどです。

こうして利用パターンを確認してみると、中古でも新築でも、アパートのオーナーにとってホームインスペクションが欠かせない存在であることがわかりますね。

●建物外観(外部)のインスペクション

アパートのホームインスペクション(住宅診断)では、どのようなところを調査しているのか、依頼する前に把握しておきたいものです。とはいえ、調査項目の詳細を全て把握するのは難しいですから、大雑把に調査のイメージを把握しておくとよいでしょう。

アパート外観の調査

基礎・外壁

建物外部では、建物の基礎や外壁が調査対象となります。基礎は補修すべきひび割れやジャンカ、怪しい染み等がないか確認し、外壁は仕上げ材のひび割れや継ぎ目や貫通部(ダクト・サッシ等)周りのシーリングの劣化状況などを確認します。

基礎は建物の基本構造部となる大事な箇所であり、外壁は雨漏りを防ぐ大事な箇所ですから、いずれも大事な調査範囲です。

但し、3階建て以上の建物では、外壁の高い位置を詳細に確認することはできません。4階建て、5階建て、更にそれ以上の階数がある建物では外壁の確認を希望するなら専門業者への依頼を検討することになります。

共用のエントランス・廊下・階段

アパートによっては、共用部のエントランスや廊下、階段などがありますが、これらも調査対象となります。それぞれの箇所で、床・壁・天井の劣化状況や施工不良が無いか確認します。外部の階段では、鉄骨の錆びがひどいということは多いです。

共用廊下のインスペクション

屋上・屋根

屋上や屋根も調査対象となります。屋根は、その形状によっては敷地内や前面の道路から確認することができますが、屋根上へ登って確認することはほとんどないため、簡易的な確認になると理解しておきましょう。

屋上は、共用部の階段から上がれるようになっておれば調査対象となるものの、上がれないアパートの屋上も多いです。また、階段から屋上へ上がれるにも関わらず、屋上へ出る扉が施錠されているために出られないことも多いですから、事前に管理会社などに確認しておくとよいでしょう。

共用部の設備

一般的なホームインスペクションでは、共用部の設備は調査範囲に入っていません。たとえば、エレベーターや機械式駐車場などです。こういったものを点検したいときは、専門業者に依頼する必要があると理解しておきましょう。

建物内部(室内)のインスペクション

次に建物内部のインスペクション(診断)について説明します。アパートにおける建物内部とは、各住戸(部屋)の中のことです。

アパート室内のインスペクション

床・壁・天井・設備関係の調査

床や壁は、傾きの有無を調査機材で確認します。傾きの程度によっては補修を検討しなければなりません。また、過度な床鳴りやひび割れなどの劣化、施工不良が無いか確認します。

天井は目線より上であるため、一般の人が見落とすことが多い箇所ですが、必ず目視確認しなければなりません。雨漏りの跡は天井や壁の上部で確認されることがよくあります。

水周り設備は、調査時に動作可能なものは動作チェックを行います。扉、サッシについても動作確認をして建て付け、施工状況、劣化状況の確認をします。

点検口内部の調査

室内には浴室に天井点検口が付いていることが多いですが、ここは必ず確認すべき箇所です。新築でもダクトが外れていることに気づかずに、数年経ってから異常な湿気とカビによる被害に気付いたという相談が何件もありました。

また、床下や小屋裏の点検口があれば、その内部の状況も確認します。床下なら、基礎立上りの内側や底盤の状況、土台などの床組(構造金物も)、漏水跡(設備漏水など)、シロアリ、床下配管、断熱材などを確認することができる重要な部分です。

小屋裏なら、梁などの小屋組(構造金物も)、漏水跡(雨漏り・結露)、断熱材などを確認できる重要な部分です。

但し、アパートでは一般的な住宅に比べて床下や小屋裏の点検口を設置しないことが多く、確認できないことも多いです。

投資用アパートのホームインスペクションの注意点

だいたいの調査範囲を確認できたところで、投資用アパートのホームインスペクション(住宅診断)を依頼する上での注意点を解説しておきます。依頼する前にこれらを理解しておき、トラブルにならないように、また後悔しないように対処しておきましょう。

事前に管理会社・不動産会社・所有者等に連絡が必要

中古アパートを購入するときにインスペクションを依頼するならば、前もって不動産仲介業者や管理会社に申し出ておき、売主(所有者)にも伝えてもらいましょう。これらの了解なしに、無断で実施することはできません。

アパートのホームインスペクション(住宅診断)は非破壊調査(何も解体などしない調査)ですが、調査すること自体は伝えて了解を得るべきです。管理会社や所有者の判断で入居者にも告知してもらっておくとなおよいです。

新築アパートのインスペクションならば、基本的には建築会社や設計者に伝えるだけで大丈夫ですが、引渡し前に実施せず、引渡し後に行うなら、管理会社に伝えておかないと入居者の入居時期との問題も起こりうるので注意してください。

室内調査は空室でないと難しい

空室でないと調査が困難

インスペクションの調査対象に建物内部、つまり室内調査がありますが、中古アパートでは入居者がいることが多いため、実施できないことが多いです。

空室については、所有者や管理会社などに了解を得て開錠してもらうことで実施することができますが、入居者がいる部屋も調査したいならば、事前に入居者の了解を得て日程調整しなければなりません。このハードルは高く、不動産仲介業者の手間負担が大きいので、なかなか動いてもらえないことが多いです。

それでも実行したいならば、入居者の予定に合わせて調査日を2日以上に分けて実施することもあるので、インスペクション費用が割高になることも計算しておいた方がよいです。

新築ならば、この問題がないのでいいですね。

室内調査は何室、調査すべきか?

調査する部屋の数

新築で未入居時の調査や中古アパートでも空室が多い場合、確認できる部屋の全てを調査すべきでしょうか?もちろん、理想としては全室の調査なのですが、インスペクション費用の負担が重くなりすぎます。

そこで、3~5室につき1室のサンプル的な調査を提案します。8室のアパートならば、2~3室程度です。

その際に、どの部屋の調査を選択するかも大事なポイントです。たとえば、3階建てで各フロアに3室ずつのアパートならば、1階は端、2階は中住戸、3階は1階と逆の端という選択が理想的です。2階建てで各フロア3室ずつなら、1階は端、2階は1階と逆の端がよいでしょう。

実際にどの住戸(部屋)の調査をするかは、ホームインスペクション会社と相談して決めるとよいでしょう。

床下・小屋裏は隣室と繋がっていることがある

床下

新築で未入居のアパートの場合はあまり考える必要はありませんが、中古アパートのインスペクションを依頼するときには考えておくべきことがあります。それは、床下や小屋裏の調査に関する注意点です。

アパートの床下や小屋裏は、そのプランによっては隣室と繋がっていることがあります。だからといって、不用意に隣室の床下などへ進入して調査を実行すると、隣室の入居者が驚きます。笑えない話ですが、不審者だと思って通報してしまうという話もあります。

隣室の床下や小屋裏の内部まで調査を希望するのであれば、その旨をホームインスペクション会社へ伝えて相談し、尚且つ、事前に隣室などの入居者へ管理会社などから告知してもらい、了解を得てもらっておきましょう。

投資用アパートのホームインスペクション(住宅診断)に関する基礎知識と注意点を解説しましたが、いかがでしょうか。ここにあげていることを理解したうえで、ホームインスペクション会社から見積りを取る際によく相談したうえで進めてください。

実際にアパート等の投資物件のインスペクションをするなら、投資用不動産・収益物件(アパート等)の建物調査・建物検査から詳しい調査内容をご確認ください。

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